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ansible: リモートサーバー管理と自動化

Ansibleはオープンソースの自動化エンジンで、ソフトウェアプロビジョニング、構成管理、アプリケーションデプロイ、オーケストレーションなど、様々なIT自動化タスクを実行します。エージェントなしでSSH経由でリモートサーバーに接続してタスクを実行し、YAMLベースのプレイブックを使用してタスクを定義します。

概要

Ansibleはエージェントレス方式で動作するため、管理対象サーバーに別途ソフトウェアをインストールする必要がありません。SSH接続を通じてコマンドを実行し、Pythonで記述されたモジュールを使用して様々なタスクを実行します。インベントリファイルを通じて管理対象ホストを定義し、アドホックコマンドやプレイブックを使用してタスクを自動化できます。

主な特徴

  • エージェントレス方式(管理対象サーバーにエージェント不要)
  • SSHベース通信(既存インフラ活用)
  • YAMLプレイブック使用(簡潔で可読性の高い自動化スクリプト)
  • 構成管理、アプリケーションデプロイ、オーケストレーションなど様々なIT自動化

主なオプション

Ansibleコマンドは、インベントリファイルに定義されたホストグループに対して特定のモジュールを実行したり、アドホックコマンドを実行したりする際に使用されます。

基本実行オプション

情報とデバッグ

生成されたコマンド:

コマンドを組み合わせてみてください。

説明:

`ansible` コマンドを実行します。

これらのオプションを組み合わせて、AIと一緒に仮想的にコマンドを実行してみてください。

使用例

Ansibleコマンドを使用して、リモートサーバーに対する様々なタスクを実行できます。

全ホストの接続確認 (ping)

ansible all -m ping

インベントリに定義された全てのホストに対して、接続可能かどうかをテストします。

Webサーバーグループへのコマンド実行

ansible webservers -a "uptime"

インベントリの'webservers'グループに属するホストで'uptime'コマンドを実行します。

特定ホストへのパッケージインストール (sudo使用)

ansible node1 -b -m apt -a "name=nginx state=present"

node1ホストに'nginx'パッケージをインストールします。-bオプションでsudo権限を使用します。

カスタムインベントリファイルの使用

ansible all -i my_inventory.ini -a "df -h"

デフォルトのインベントリファイルではなく、'my_inventory.ini'ファイルを使用して、全てのホストに'df -h'コマンドを実行します。

リモートユーザーを指定してファイルのコピー

ansible webservers -u deploy_user -m copy -a "src=./index.html dest=/var/www/html/"

リモートユーザー'deploy_user'で接続し、ローカルの'index.html'ファイルをリモートサーバーの'/var/www/html/'パスにコピーします。

インストール

AnsibleはほとんどのLinuxディストリビューションにデフォルトで含まれていないため、パッケージマネージャーやPython pipを通じてインストールする必要があります。Python pipを通じたインストールが最も推奨される方法です。

Python pipを利用したインストール(推奨)

Pythonがインストールされていれば、pipを使用してAnsibleをインストールできます。

  • インストールコマンド: pip install ansible
  • アップグレードコマンド: pip install --upgrade ansible

Ubuntu/Debian

APTパッケージマネージャーを使用してインストールします。

  • インストールコマンド: sudo apt update && sudo apt install ansible

CentOS/RHEL

YUM/DNFパッケージマネージャーを使用してインストールします。EPELリポジトリが必要な場合があります。

  • EPELリポジトリインストール: sudo yum install epel-release
  • インストールコマンド: sudo yum install ansible

ヒントと注意点

Ansibleを効果的に使用するためのヒントと注意点です。

Ansible使用のヒント

  • **インベントリファイル管理**: 管理対象ホストを体系的にグループ化し、定義することが重要です。`ini`または`yaml`形式を使用できます。
  • **プレイブック使用推奨**: 簡単なアドホックコマンド以外は、再利用性、可読性、バージョン管理のためにYAMLベースのプレイブック(`ansible-playbook`)を使用することをお勧めします。
  • **冪等性(Idempotency)の理解**: Ansibleはタスクを複数回実行してもシステムの状態が同一に維持されるように設計されています。これを冪等性と呼び、自動化スクリプト作成時にこの概念を活用する必要があります。
  • **SSHキーベース認証**: パスワードの代わりにSSHキーを使用してセキュリティを強化し、自動化プロセスを簡素化することをお勧めします。
  • **Vaultの使用**: 機密情報(パスワード、APIキーなど)はAnsible Vaultを使用して暗号化して管理する必要があります。

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