概要
batchはatコマンド群に属し、システム負荷を監視して負荷が低いときにタスクを実行するスケジューラです。主にリソース集約型のタスクをシステム使用率が低い時間帯に自動的に処理する場合に使用されます。batchは内部的にatコマンドの「b」キューを使用し、このキューのタスクはシステム負荷平均が0.8未満の場合にのみ実行されます。
主な特徴
- システム負荷ベース実行: 平均負荷0.8未満でタスク開始
- atコマンドと同様の構文でタスクを予約
- バックグラウンドでリソース集約型のタスク処理に適している
- タスク完了時にユーザーにメール通知可能 (atオプション活用)
主なオプション
batchコマンド自体には直接的なコマンドラインオプションは多くなく、主に標準入力またはファイルから実行するコマンドを受け取ります。以下は、batchにコマンドを渡す主な方法です。
コマンド入力方法
生成されたコマンド:
コマンドを組み合わせてみてください。
説明:
`batch` コマンドを実行します。
これらのオプションを組み合わせて、AIと一緒に仮想的にコマンドを実行してみてください。
使用例
batchコマンドを使用して、システム負荷が低いときに特定のタスクを実行する方法です。
標準入力で簡単なコマンドを予約
batch
ls -l > /tmp/batch_output.txt
<EOT>
システム負荷が低下したら、現在のディレクトリのファイルリストを/tmp/batch_output.txtに保存します。
パイプで複数のコマンドを予約
echo -e "echo 'Batch job started at $(date)'\nls -a\necho 'Batch job finished'" | batch
echoコマンドを使用して、複数行のコマンドをbatchにパイプして予約します。
スクリプトファイルの実行を予約
echo '#!/bin/bash\necho "Hello from batch!" > /tmp/batch_hello.txt\ndate >> /tmp/batch_hello.txt' > my_script.sh
chmod +x my_script.sh
batch -f my_script.sh
my_script.shファイルを作成した後、そのスクリプトをbatchで予約します。(my_script.shファイルに実行権限が必要です)
インストール
batchコマンドは`at`パッケージの一部です。ほとんどのLinuxディストリビューションにはデフォルトで含まれていない場合がありますので、必要な場合は次のコマンドを使用してインストールできます。
Debian/Ubuntuベースのシステム
sudo apt update && sudo apt install at
CentOS/RHEL/Fedoraベースのシステム
sudo yum install at
ヒントと注意点
batchコマンドを使用する際の役立つヒントと注意点です。
主な考慮事項
- **負荷基準**: batchはシステム負荷平均が0.8未満になったときにタスクを開始します。この値は`/etc/at.deny`または`/etc/at.allow`ファイルなどのシステム設定によって異なる場合があり、`atd`デーモンの設定に影響を受けます。
- **環境変数**: batchで実行されるタスクは、現在のシェルの環境変数を継承しない場合があります。そのため、スクリプト内で必要なパス(PATH)やその他の環境変数を明示的に設定することをお勧めします。
- **ログの確認**: タスクが予期した通りに実行されない場合やエラーが発生した場合は、システムログ(例: `/var/log/syslog`、`/var/log/messages`または`journalctl -u atd`)を確認して問題の原因を特定できます。
- **タスク管理**: `atq`コマンドを使用して予約されたbatchタスクを確認でき、`atrm`コマンドを使用してタスクをキャンセルできます。