概要
wgetrcファイルは、Wgetコマンドが実行される際に参照される設定ファイルです。システム全体に適用されるグローバル設定ファイルと、ユーザーごとに適用される個人設定ファイルがあります。このファイルは、Wgetのデフォルトの動作を変更し、繰り返しオプションを入力する手間を省き、特定の環境に合わせて最適化するのに役立ちます。
主な特徴
- 設定範囲: グローバル (例: `/etc/wgetrc`) およびユーザーごと (例: `~/.wgetrc`)
- 適用優先順位: ユーザーごとの設定がグローバル設定を上書きします。
- 主な設定項目: ダウンロードパス、プロキシ、タイムアウト、リトライ、ユーザーエージェントなど
一般的なwgetrcファイルの場所
- `/etc/wgetrc` (グローバル設定)
- `~/.wgetrc` (ユーザーごとの設定)
使用例
wgetrcファイル内に記述される設定の例です。このファイルはテキストエディタで直接編集する必要があります。
デフォルトのダウンロードディレクトリ設定
# ~/.wgetrc または /etc/wgetrc ファイルの内容
dir = /home/user/downloads
すべてのダウンロードファイルを `/home/user/downloads` ディレクトリに保存するように設定します。
プロキシ設定
# ~/.wgetrc または /etc/wgetrc ファイルの内容
http_proxy = http://proxy.example.com:8080/
https_proxy = http://proxy.example.com:8080/
use_proxy = on
HTTPおよびHTTPSプロキシを設定します。
リトライ回数とタイムアウト設定
# ~/.wgetrc または /etc/wgetrc ファイルの内容
retries = 10
connect_timeout = 15
接続失敗時に最大10回リトライし、接続タイムアウトを15秒に設定します。
ユーザーエージェント設定
# ~/.wgetrc または /etc/wgetrc ファイルの内容
user_agent = Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/91.0.4472.124 Safari/537.36
Wgetがウェブサーバーに自身を識別させるユーザーエージェント文字列を変更します。
ログファイル設定
# ~/.wgetrc または /etc/wgetrc ファイルの内容
output_file = /var/log/wget.log
Wgetのすべての出力を指定されたログファイルに記録します。
ヒントと注意点
wgetrcファイルを効果的に使用するためのヒントと注意点です。
ファイル編集
wgetrcファイルはプレーンテキストファイルなので、`vi`、`nano`、`gedit`など、どのテキストエディタでも編集できます。
- `~/.wgetrc` ファイルが存在しない場合は、自分で作成できます。
- 変更は、次にWgetを実行したときに適用されます。
セキュリティに関する考慮事項
プロキシ認証情報や機密性の高い設定は、`wgetrc`ファイルに直接保存しないことをお勧めします。代わりに、環境変数を使用するか、Wgetコマンドラインで直接指定する方が安全な場合があります。
- `~/.wgetrc` ファイルのパーミッションを `600` に設定し、他のユーザーが読み取れないように保護してください。
特定のwgetrcファイルの使用
wget --config=/path/to/my_custom_wgetrc http://example.com/file.zip
デフォルトの`wgetrc`ファイルではなく、特定のカスタム設定ファイルを使用するには、`--config`オプションを使用します。